あさっての場所。

思えば3年前だ。
次から次へと開く扉を、糸に引っ張られるようにして、つんのめりながら、足をもつれさせながら、ただただ走り抜けていったのは。

そしてたどり着いた「あさって」の場所。

随分遠くまで来たようで、何も変わらないようなこの場所。

ここに来るまでの時間は、もうすっかり圧縮されてしまった。
振り返れば、もちろんいろいろなことがあったのだけれど、それらは今や小さなタブレットのようにギュッと押し固められた、ひとかたまりの思い出になってしまった。

そして今。
縦にも横にもなって居られないほどの眠気を感じた後に、ふとみつけた手紙の糸口。

「楽しんでね」

と言われた言葉そのままに、また走り始めよう。
そしたらまたすぐに、わたしを弾くあの音が聞こえだすから。

イメージする。


大事な手紙を書こうと思って、頭の中で組み立てては壊し組み立てては壊し。
大切なのは、思いを濁りなく言葉に置き換えること。
なるべく真っ直ぐに、なるべく透明に、でも実体を伴った、確かな言葉に。


イメージする。


伝えようとしていることが、寸分の歪みもない、輝く透き通った球になって相手のど真ん中に届くことを。仮に一方通行になったとしても、確かに着弾することを。


イメージできる。


なぜなら、そのことを考えただけで緩んでいた心臓の筋肉が弾力を取り戻し、勢いよく全身に血液を送り出すようになるのがわかるから。そうなれば、指先から放たれたボールは、たちまち魔球に変化するから。


今がその時。今がその時。

今が、その時なのだ。

恐れるな。

家でめっきりネットをやらなくなったのは、ここ半年ほどの生活の変化のせいだけではなく、いつの頃からかとてつもなく動きが緩慢になったこのマシン(PBG4)によるところも大きい。
これを相棒にした当時にはなかなかそれなりだったスペックも、今となっては化石に等しく、仕方ないといえば仕方ないかなーと思っていた、のだが。ふと気になってシステム情報を参照したてみら、なんとメモリが256MBしか積まれていなかった。そりゃあ動かないわけだ。今時の派手めなコンテンツにとっては、非力すぎるもの…って、ん?
256? そんな最小スペックで買ったんだっけか? …? ……?

あらためて情報を見てみると、2つあるメモリスロットのうち、UPPERが「空き」になっている。べらぼうに今さらだけど、そういうことなら増設でもするかな。どれどれ、amazonを見てみると…メモリ安っ! 1GBで4000円しないのなら、2枚買ってとことん増やすしかないでしょう。

いまマシンの外装には保護と冷却の意味を込めてアルミのケースを被せてあるのだけれど、そんなわけで、それこそ買ってから「初めて」に近く、このケースを外して背面のスロットの中味を改めてみた。すると、「空き」であるはずのUPPERのスロットではなんと、


メモリが脱げていた


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スロットからほとんどはずれかかっていたメモリは512MB。何の拍子で抜けたかはわからないけれど、そりゃパフォーマンスも低下するわけだ。びっくり。念のため、上下を入れ替えて差し直してみる。お見事、今度はちゃんと認識した。
けど、ついてしまった勢いは止まらないので、メモリは発注(めでたく2GBになりました)。ついでにHDDも取り替えようかな。少なくともあと4倍にまでは広げられるらしいもんね。


「で、その後(のこのマシン)はどうするの?」


などという声が聞こえてきたが、それはわからん。
新生活を機に、立派な27インチの1体型マッスィーンもやってきて目前に鎮座ましましているけれども、どうもこの、1台を2人で使うという体制に慣れないので、やっぱりこれでこっそり更新したいな。こっそりは無理か。でもまあ、それに近い気持ち。


……さて、さわやかな季節がまためぐってきて、またしても心が少し騒ぎ出している。本当は、大風邪を拾って帰ってきた1月3日のさいたまアリーナのことも、行かなかった恵比寿のお誕生日ライブのことも、もっと細かいことも書いてみたいものだけれど、その前にまずリハビリ。そろそろ大事な手紙を書くときが来た気もするし(そのことを考えると、心が震えすぎてちょっとヤバイ)。

ボケッとしていても、疾走していても、同じように時間は過ぎていく。ならば、止まっていた時間を少し動かして、また空を切るようなあの感覚を取り戻さなければ。恐れないこと。それだけが全てを上手く運ぶカギだな、きっと。

330-1、そしてAのひと。


毎年、年が明けてすぐとこの日が近くなると開くページがあって、気が向けば何か言葉を残してみたり、そうでなければさらっと流したり。年によっては、開くことすら忘れて過ぎてしまうこともあるけれど、今年はその中間。年明けの時は開き忘れて、3月も末のこのタイミングで訪れてみた。

すると、今日の今日でライブがあることを知る。

22年前のこの日はまだ何も知らなくて、21年前のこの日は新宿ロフトにいた。あれから長い時間が経って、ある時またステージに立つメンバーの姿に会うことができた。ここ2年ほどはまた別のことに心を取られていたせいで、すっかりお留守になってしまっていたけれど、気づいたということはきっと何かのメッセージ…というわけで、仕事もそこそこに下北沢へ向かう。

18時半の開場に間に合うためにはちょっと無理をしなくちゃいけないこともあって、ゆるく、19時の開演に合わせて現地へ向かう。こんな箱あったっ…そういえば、何回か通りかかったような気もするな。

おかげさまで準備が少し押していて、当日券もしっかり買えて、あまつさえ座る席さえ確保できた(大人が大集合だから椅子席は当然なのだろうけど、意外&嬉しかった)。
んー、でも自分的には下手側に座るのが割と好きなので、様子を見て場所を変わる。十分じゅうぶん。よく見える。


構成はいつもの通り、ジムくんの空気を凍らすトーク&singの第一部。それから今日はfamilyのライブということで、久保田さちおさんもVoを取る(五時からのレボリューション&チャイナタウンでつかまえて)。スペシャルゲストは杏子(崩れおちていくサマーナイト)と森川さん(TEENAGER&真夜中をつっぱしれ)。すごいなぁ。なんか夢を見てるみたいだ。バンマス(剛くん)も社長(平野くん)も相変わらずかっこよすぎ。


実は、後半戦、横山氏が出てくる頃には、宮城くんがのしかかってきてるのかというくらい肩と背中が重くなってしまって、立っているのもしんどかったのだけど、何とか最後まで完走する。体調のせいでというか、おかげでというか、思い入れたっぷりになりすぎずにいられたのは良かったのかもしれない。

そして終演。いつもだったらここで、みんなでグラスを合わせるような展開になっていくのだけれど、今回は23回忌にして(今度こそ)最後の?HBBファミリーのライブということらしく、当時のレコード会社の方などもたくさんいらしていたので、そそくさと退散…と思いきや。

なぜか、落としていた視線の先で、入り口の手前に立っている人の手元に目が止まった。
それは、今回も入場の際に配られた、宮城くんのお父さんの手による追悼文集。例の、木更津の妖精さんの写真集の中にバッチリと写っていた、アレだ。

皆同じように1冊ずつもらっているので、特にどうということはないはずなのだけど、その人の左手に納まっていた宮城くんの写真に改めてちょっと目が留まって、そのまま目線を上げると、その本を持っていたのは


……



ロックバンドFANTAの、Aの人だった(笑)



いままでも何度でも、この接点を夢想して、その都度「ありえないことではない、けどやっぱり有り得ないことだよなぁー」と思ってきたけれど、なんとあっさりそこに居ることよ。いつどうしてどうやってあの文集を手に入れたのだと思っていたけど、案外本当に、自分で手に入れてしまっていたのかもしれないね。

いつかのときみたいにヨコをすり抜けていこうとすると、耳慣れたドラゴンボイスが聞こえてくる。「『YOU』好きですねー」って言ったのか? そうなのか?


あまりに呆然としてしまったので、U子さんとかにゃこちゃんに「いま目の前にAの人が…」とメールしてみる。
すると、U子さんからは、「ちょうどついったー見てたのでなんとなく様子わかります」と。なぬ! その手をまったく思いつかなかったので、あわてて携帯電話を取り出す…と、うんまぁ、居たんだ、ずっと! (ちなみにかにゃこちゃんからは「ドラムの方じゃないですよね?」と返ってきたけど、たぶんきっとぜったいかなり、ベースの方でした(笑))


東京ドームで後頭部を引っぱたかれて、単身大阪城ホールへ乗り込んだ日。会場のノイズに紛れて聞こえてきたビシバシ純情は伊達じゃなかったんだなぁ

チッタのBIGRUMBLEで、DUKE & THE NICE GUYのあとに登場したとき、どっかで竜ちゃんとすれ違ったのかなぁと思ったり(ちなみに竜ちゃんは今回も欠席でした)

富士急の秘宝展(だっけ)で見た過去のフライヤーで「この人・・・」と思ったのも(去年の武道館+ZEPPでマイウェイを流したときも!)、みんなみんな、今日ここにあっさり溶け込んで立っているという事実に繋がっているんだ。


もうずっと、亀戸へは足を向けていないのだけど、これはひょっとしてもしかするのかなぁ。引き寄せているつもりのない人を引き寄せてしまった格好だけど、もう一人、ずっと気になっている人がいるのだものね。

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すべては 心の 決めたままに

あれから3年…といっても氣志團のことではなく、舞台のこと。今年はトリエンナーレの開催年で、7月末の本番までそれはそれはたくさん稽古が入り、並行してオシゴトやらKKのことやらで殆ど身動きが取れなくなっていた。

「忙しい」とは「こころをなくすこと」とはよく言うけれど、本当に物理的に時間がないと、お楽しみの要素はどんどん優先順位が下がってしまう。4月の段階で浪人を決め込んでいた某水産高校も引き続き入学手続きを経ないままだったので、すっかり出遅れてしまったわたしは、当然この夏のイベントも、参戦自体「無理」だと思っていた。

けれど、なんだかんだ舞台を終えてホッとひと息ついたら、何だか猛烈に気になって気になってしまって、結局直前に滑り込みで手配して、大きな観覧車のふもとにあるライブハウスへ駆け込むことにした。
どうしても、確かめたいことが、あったから。


春に武道館で見た氣志團は、変わらず、というか、きっと少しは変わったのだろうけれど、見ているわたしたちにはゆめ気づかせないように、むちゃくちゃなストライドで3年分の遅れを取り戻すべく走ってきてくれていた。ただ、そんな一生懸命な姿に細めた目が一瞬にして覚める瞬間が、あのステージの最後にあった(Zeppの最後にもあった)。



私には愛する歌があるから 信じたこの道を 私は行くだけ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!


なんでかな、なんでこんなことをしでかすかな。
でもきっと理由なんてなくて、強いて言うならそれは氣志團がパンクロックのバンドであるからで、言葉だって日本人なら日本語の方がいいんであって、他意はない。ないはず。

だけど。

おかげさまで、もうそんなに後ろを向いたまま前進するようなことはなくなってきたかな、なんて思った矢先に、また思い切り肩を掴まれて東の方向へぐいっと向けられたような気持ちになったのは確か


・・・・・と、今日、買ってきたDVDをようやく開封して、改めてあのエンドロールを目の当たりにして、また思い出してしまったのだった。

忘れてはいけないことはたくさんある。
その通りだ。

日の当たるところへ。

カイシャの行く末に全く未来は感じられないけれど、順調に仕事は忙しい。
今日は出社してジャムのお手伝い。現実逃避とも一説には言う(笑)


外の空気がすっかり夜に変わった頃、彼女と息抜きにコンビニへ行きがてら話したことは、図らずもここ最近の自分が思っていることに近かった。


「明るいところへ行かなくちゃ」


ギョーカイが日かげなわけでも、ジャンルがニッチ過ぎるわけでもない(ことはないか)。しかし、確実にあるこの「日の当たらない感じ」。いつの間にか皮膚から浸潤して体中を冒してしまう強烈な負のパワー。もはやそんなものに精気を吸い取られている場合ではないのだ。一刻も早く、日の当たる、暖かい場所へ飛び出さなくては。そして、眉間に滞留する邪気を洗い流してしまわなくては。


   *   *   *


「思い」だすといろいろなことがシンクロを始める。
1年前に次から次へと開けていた扉は、今もそこにあった。わたしがノックを辞めただけで、扉は引き続き開かれるのを待っていてくれたのだ。だからわたしは、改めてノブに手をかけ、明るくその戸を押し開ける。


と、いうことは


止まっていた歯車も早晩きっと動き出すに違いない。自分の中でどんどんイメージが鮮明になって、「そうなるしかない」映像が見え始める。そして、この「ゴールの映像」に向かって、ブーメランのように(一見関係のないような)行動を放り投げるときが実は一番楽しいのだ。放たれた翼が加速度を付けて「結果」に向かって収束していく感触。ゾクゾクする。あとは、起こりうる結果を恐れずに楽しむこと。たとえ自分の「成せる技」の領域をあっけなく超えていたとしても、恐れないこと。


ちょっと盛り上がってきた……かな?

どうしたんだ、Hey Hey Baby

一報を聞いたときだって、テレビや新聞で繰り返しニュースになっているときだって、そんなに動揺することはなかった。アオヤマ・ロックンロールショウに行くとか、そういうことも別に(全く)考えることはなかった。
ただ、テレビの画面に映った祭壇の前で、スーツをビシッと決めた三宅伸ちゃんが直立不動でギターを弾いている姿にはちょっと胸が詰まり、それから自分が持っている遠いいつかの物語のことを思い出したりしていた。


そして今、リビングのテレビから「スローバラード」が流れている。


…悪い予感のかけらもないさ…


ちょっとたまらん。


時間には限りがある。そして、傾けられる心にも指向性というものがある。ここ最近、自分は何か大事なことを忘れてはいないだろうか。


1年前あんなに切羽詰まっていた心が、今では違うものに向けられている。それは、偶然を装った必然だったと今も思うし、引き返そうとも今さら思わないけれど、そうなるために働いた「突き動かされる気持ち」のことを、ときどきは取り出して考えてみなければ…というより、「考えろ!」と、今そこでボスがシャウトしている。


今年後半の課題、いや、持ち越されている宿題だなぁ。