泣き上戸。

月曜組曲」を見ている。
最近でこそ驚かなくなったけれど、だいたい小田和正がテレビに出てこんなにベラベラしゃべってるなんて、凄い時代になったものだ。

私が中学生の時、オフコースはまさに武道館10days公演を終えて、活動休止期間に突入するところだった。当時音楽を聴き始めたばかりだった私は、友達から毎日のようにいろんなLPを借りていて、オフコースはその中の定番中の定番だった。
そうして「アーティスト」という人々に興味を持ち始めた頃、買うようになった雑誌は『GB』だった。そこでは、今まさに表舞台から姿を隠そう、かき消そうとしているオフコースに、小田さんに、残る4人のメンバーに届けとばかり、署名運動が展開されていたのだ。泣きそうになりながら署名用紙を持って教室に飛び込んできたLPの友人に対して、私はペンを拒む言葉を持っていなかった。

あれから。

オフコースは「NEXT」なんていうテレビ番組をやってリスナーを驚かせたり、ヤスさんこと鈴木康博が脱退してしまったり、4人で活動を再開したものの、結局解散してしまったりしたのだ(はしょりすぎだと思いますけど)。
私はといえば、瞬く間に「もっと好きな音楽」がたくさん現れたおかげで、オフコースからは徐々に、そしてすっかりと離れてしまったのだけれど、あの解散騒動の時の熱っぽさは今でもとてもよく覚えている。ステージのこちら側の声は、束ねて大きくすれば必ず相手に届くのだと、信じて信じて、信じて止まなかった頃のあの熱。それは、今ではWEBが吸収して、形を変えながらも無限に吐き出され続けているのかもしれない。
今ではもう、チャートの中でしか聴かなくなってしまった小田さんの歌だけれど、センチな思い出と一緒にある歌が多いからこそ、もし不意打ちを食らったら、結構来ちゃうんだろうな。
そういう意味で、久々にちゃんと耳にした小田さんのベラベラしゃべり、じゃなくて歌は、なるべく正視しないようにしていないと涙ダダモレになりそうでちょっとヤバかった。涙もろくなりました。