そして夢の時間。

土曜の稽古のときはいつも、決まった店でランチを食べるのが習慣だ。今日も待ち合わせていつもの店へ。Tちゃんは別の場所から移動してくるので今日は欠席だけど、本番も近いことだしいろいろ打ち合わせることはあるよ、ね、……なんて、パクパクもぐもぐしていたら、にわかに空がかき曇り、雨が降ってきた。いや、降ってきたなんてもんじゃない。海の底が破れて水が落ちてきたんじゃないかというくらいの大洪水だ。


「でもこういう降りって、ケロッと晴れちゃうんだよね」


「そうなんだけど、それにしたってひどくない?」


店の一番奥にいたのだけれど、ちょうどその時、明日の仕事のことで電話が立て込んでいたので、入り口付近の電波の通りのいいところへ移動した。すると、眼下に広がるのは一面水浸しの石畳。いやあ、あと5分か10分、店にはいるのが遅れていたら、我々は傘もないままあの雨に打たれていたのね。間一髪。そして、食事が終わる頃には本当に、空は「ケロッ」と晴れてしまった。もう梅雨の雨じゃないね。真夏のスコールですよ。若干、極端すぎると思うけど(ちなみに、周辺の店は断水してしまったらしい)。


つつがなく稽古を終えたあとは、一路四谷へ。今年で最後(?)の、ヒルビリーバップス「炎のロカビリーナイト」へ参戦するために。


1年前は、本当に15年一日の如くタイムスリップさせられて、一瞬ここがどこだかわからなくなってしまったけれど、今年はもうちょっと余裕がある。1年に一度、こんな「夢の時間」があるなんて素敵じゃない? なんて思えるほどに。
整理番号のおかげで、「定位置」を首尾良くゲット。ここだと、バンマスの剛くんも、MC+ボーカルのジムくんも、ドラムの竜ちゃんも、永遠のプリンス・ロバート平野もよく見えるはず。明日は仕事が限りなく不透明だから、今日一生懸命見ておきたいよな、そうだよな。


しかし、始まってみると残念なことに、今日のドラムスはTIMERSのパーによく似た杉山章二丸兄さんだった。いいんだけどさ、格好いいからいいんだけどさ、でもやっぱり竜ちゃんのドラムが聞きたかった……。
なんてことを少しだけ考えつつも、身体がリズムを刻んでいく。クラシックなロカビリーからブルースまで、ジムくんのMCはだいぶクール(低温てこと)だったけど、演奏は滅茶苦茶格好いい。やっぱり明日も……いや、それは明日の風に任せよう。
途中、あまりの「盛り上がらなさ(MCの)」に、剛くんが


「まだ練習中だけど、封印されたあの曲を……泣くなよ!」


といって、蔵出しの1曲を聞かせてくれた。それって……『微熱なキ・ブ・ン』じゃん!(笑) 
セットリストなんかもう全然わからなくなっちゃったんだけど、その辺りから少しずつヒルビリーの曲も入ってきて、スペシャルゲストが。って、ま、ま、MAGUMI!!!
これまた何年ぶりなんだ!! や、ゲストというなら、あり得ないと思っていつつも、ひょっとしてどこかで、「ボス」が来たりしないかな、なんて思っていたのだけれど、MAGUMIかあ、確かにあり得るセンだった。そして、そのボスに捧げる『バカンス』を歌ってくれた。ううん、その前に『夢見る頃を過ぎても』があったね。正直、ちょっと「アリ」だった(笑) ……ってなんかもう、思い出すのもいっぱいいっぱいだなあ。


本当は、明日こそ絶対に逃してはいけないと思うのだけど、正直どうなるかまったくわからない。締めの挨拶では「また来年」なんてみんなふざけて言っていたけど、この夢がそういつまでも続くものではないかもしれない、ということはうすうす感じている。だとしたら、そうだとしてたら、そうならばなおのこと、なんとかしたいなあ。
明日は、竜ちゃんこと小西竜太郎さんも、ちゃんと叩いてくれるそうです。ヤタッ! それから、ボーカルは横山くんにタッチだよね。このフォーメーションがまたかっこいいんだよ。やっぱりなんとかしよう。


まだまだほかにも、サラサラと記憶の砂がこぼれ落ちてしまうまえに書き留めたいことがあるのだけれど(剛くんと話したときの「ボス」のこととか)、まずはここまで。

本当に素敵な時間てあるものだよ。驚いた。この時間をもう一度確保するために、がんばろう明日。