夢の扉は、再び閉じられていく。

今日の仕事は現場なので全く時間が読めない。いや、読めないことはないな。経験則で考えると、今日のスケジューリングなら、大体16時までには終わって、締めて、行きと同様車で送ってもらったとしても、17時には家に着くはずだ。そして、家人の非難の目をかいくぐりつつ再び電車に飛び乗れば、開場の18時半は無理でも、開演の19時には間に合うんじゃないか……という青写真は、木っ端微塵に打ち砕かれた。


確かに現場は16時までにはお開きになったが、ドライバーの意向で帰宅ルートが遠回りバージョンになってしまった。この時点で大変焦る。せめて17時半には家に着きたい。だけど……無理。高速を避けたし、連休でどこも道は混んでるし。
家に戻ってマッハで着替えて、家を出たのが18時10分。最速の電車に乗っても四ッ谷まで30分は悠にかかる。そのうえFOUR VALLEYは駅から遠いんだよなぁぁ……。


滑り込んで受付でチェックしたのは19時半にならんとするところだった。ロビーでは悦也さんが「仕込み」中。「お!」の声に「うぃっす!」と頭を下げたら、とにもかくにも中へ転がり込む。ああ、外でまだ人が並んでたから、「ひょっとして開演押したかも!」と思ったけれど、やっぱりそれは違うハコのお客さんだったよ。うわーん今何曲目だろう。とにかく、どこか落ち着ける位置へ行こう。でもってステージは今どうなってるの? 


人波をかき分けている間に、演奏が終わって軽いMCになった。今の曲なんだったんだろう? なんだかジムくんが笑われてるぞ。にゃー! あ、次は『KIDNAP BABY BLUE』だ!
よよよ横山氏……今年も変わらず端正な。そして目をこらすと、ステージの一番奥には、ちゃんと竜ちゃんが座っていた。ふぬーっ! やっぱり格好いい! 変わってない! ていうかこの人たち揃いも揃って……!!!!!
やや、昨日のクレイジーロカビリーバンドも十分素敵だったけど、やっぱりこうなってしまうと、今夜のヒルビリーナイトの方が相当グッとくる。来すぎる。ついでにいうと、やっぱり絶対、ドラムは竜ちゃんの方が好きだって!!!!!!
もうダメ。昨日は「けっこう平気である」なんてスカしていたけど、やっぱりこの夢の時間には、脳味噌の血管が沸騰しちゃうって。ここどこ、今いつ、一体何が起こってるんだろう?


まったく、聴いている人も演っている人も笑顔で、笑顔で。どの曲もどの曲もみんな歌えて。昨日の終演後お話した人たちとも頷きあったのだけど、今この場所でだけは、みんな10年15年前の、「ティーンエイジャーだった頃のように」なってしまうんだよね。
本当に、「感謝」以外の言葉がない。よくもこんな素敵な時間を、それも2日間も、用意してくれたもんだよコンチクショウ!!


アンコール(だったと思うけど)になって、悦也Gさん登場。『I'll never stop』をやったら、今度はゲストタイム……と思ったら、隣にいたのは三宅伸ちゃん!!!
ぐはーっスミマセン、そういえばパワステ最前列で見たよ伸ちゃん……(と、やはり10余年前のマインドに戻ってしまうから、「さん」付けなどが出来ない)


伸ちゃんと、章二丸兄さんが加わったところで『Dog House』。いやあ、これ格好いいねー! だけど、タイコが章二丸さんに代わってつくづく、あらためて思う。パワーヒッターの章二丸さんも良いのだけれど、私の根っこは、あの「タイトだけど粘りのある」竜ちゃんのドラムの音がかなり強烈に刻まれてるんだ。それに、竜ちゃんのタイコはフォームも好き。歌うみたいなドラム、ひゃーカッコイイ!!(バカ) でも、ホントに憧れてたんだなー(という気持ちは、終了後竜ちゃんに伝えてしまいました。やっぱりバカ)。
そして、かつての覆面バンドのメンバー4人のうちの、3人までが揃ったところで、MOJO CLUBの『Sad Song』と、ヒルビリーの『バカンス』演奏。


昨日のステージの後、剛くんが


「あとは『ボス』が帰ってくればね!」


と言っていたのを思い出す。ね。この曲は、「きっとそこらで聴いている宮城に」だけじゃなく、ボスにも届けなくちゃならないんだよね。


そしてセットリスト上は、これが最後(あとでセトリを貰った人に見せてもらった)。でも、声に応えてメンバーはもう1回出てきてくれた。


「今日は機嫌が良いのでもう1曲演ってあげます」


という剛くんの言葉で、『Peggy Sue』。うーん、それで竜ちゃんは今日、歌ったのかな、歌わなかったのかな。『Dear Friend』聴きたかったな……(演らなかったそうです。残念……!)。


もう、来年の約束はなかった。


去年は、「このままじゃ悔しいのでもう1回来年やります!」という宣言があったけど、今年は「もうやりません」という言葉があらかじめ残されていた。
仕方ないんだけどね、わかろうと思うんだけどね、だけど、本音を言えば、1年に1回ずつくらい、こんな素敵な夢見たいなーホントに。本当に!!


でもって今日も、一番サンキューを伝えたい人には声をかけられませんでした。サンキューという意味では、全員揃って伝えたいのだけれども、とくにその、フロントの人には。本当に良かった。横山くんがボーカルになって、本当に良かったんだよ。ヒルビリーはね。あの頃も今も、そう思ってる。本当に、素敵なステージを見せてくれてありがとう!!!


確かにこの夏の2日間には「何か」があったね。その「何か」は、かなり大切で、キラキラしていて、なんだか、胸の奥底にボッと小さな炎が上がるような、そんなエネルギーを蓄えていると思うよ。大事に、覚えていこう。ホントに、こんなに長い時間でも、抱えていて良かったと思うことがあるんだよ。


私も、このバンド好きでいて良かったなぁ。


……というようなことは、結成 デビュー20周年のヒルビリーくらいになるとホント、素直に言えるんだよね。
10周年程度じゃ、まだまだ、まだまだいろいろあるよ。きっと。がんばれ。