もらったものは打ち返したい

受け取るのは自分が勝手にチューニングを合わせて受け取っているのだけれど、受け取ったからにはお返しをしたいと思ってしまう因果な性分。
今自分が激しく揺さぶられているものを、周辺に拡がる波紋にとらわれず、一生懸命中心だけを見ようと凝視していると、つまりそれは誰かのどこかの物語ではなく、確かに自分もさいなまれた問題たちにぶち当たる、ような気がした。


もらったもの---言い換えれば自分が勝手に受け取っただけのもの---は、両手を添えて、ラケットのガットにジャストミートして、真っ直ぐライナーで打ち返したい。掌に伝わるビリビリとした痛み。踏ん張った足は振り切る勢いに負けず地面に刺さっていられるだろうか。ちょっとでも打面が歪んじゃだめなんだ。真っ直ぐ、真っ芯に捉えなければ、正確な軌跡は描けない。最小限の力で、最大のインパクトを。そのためにはどれだけのパーツを選んで、どれだけをそぎ落としたらいいだろう。時間は残されているようで、もうわずかしかない。